文系大学2年生が統計検定準1級に合格するためにやったこと

 

 はじめに

 初めまして、都内の大学に通う文系大学生のOrcaです。学部は経済学部に進学しようと考えています。2019年6月実施の統計検定準1級に無事合格したので、それに至るまで勉強したこと、得点プランなどを書こうと思います。これから受験する人の役に立てば幸いです。何分初めてのブログ記事なため、お見苦しいところがあるかと思いますがお許しください。

 

 

 

 

忙しい方のための要約

 

 ① 過去問を解いて自分がどのレベルにいるか把握

 ② ①でできなかった分野を本、問題集で補強する

 ③ ①、②を合格点に達するまで繰り返す

 (ブログ最後に役に立った問題集、参考書を列挙しています。よろしければご活用ください)

自己紹介

 受験当時は19歳。文系。正規で受けた統計学の教育は大学の教養科目で半年のみ。(その時の成績は「可」、単位もギリギリ取得でした)さすがにちょっと恥ずかしかったので腕試しもかねて準1級を受験することにしました。

 

実力を把握する

 すべての受験に共通する大事な作業だと思います。公式の過去問が出版されているのでそちらを使います。ただし準1級は設けられて日も浅く、何十回分も過去問があるわけではないので、慎重に使いました。自分の仕上がりをチェックする材料がないと苦手分野がわからなくなってしまうので、くれぐれも「解きすぎて、実力の確認ができない!」のような事態にはご注意ください。

 また、幸いなことに統計学は問題集が数多く出版されているのでそれを使って学習した部分の定着を確認するのもいいと思います(問題集についてはブログ最後にまとめてあげてあります)。大事なことは「自分のできる分野、できない分野を常に把握しておくこと」です。理解していない分野を基礎とすることを学習するのは非効率的です。

  多変量解析の「た」の字も知らなかった私が初めて過去問を解いたときは、おそらく2~3割の得点だったように思います。ですから、全然できなくても気にしないでくださいね。絶対にできるようになりますから!

学習の進め方

 問題集で自分ができない分野がわかったら次にすることは、当たり前ですが、その分野について書かれた本、Webサイトを見ることです。ここで1つ書いておきたいことは「同じことについて書かれた本を何冊も読むこと」の良さについてです。よく、「1冊の本を完璧に理解すべき。何冊も手を出すのはよくない」との意見を耳に(目に)しますが、これは独学で統計学を学ぶ人にとってはあまり参考になりません。例えば、よくバイブル扱いされる『統計学入門』(東京大学出版会)は確かに名著、良書かもしれませんがはっきりいって初学者には難しすぎます。内容をかみ砕いてくれる指導者抜きにこの本を理解するのははっきりいって「無理」です。同じ内容を平易に解説している名もなき本はたくさんあります。

 ですから、今統計学を学んでいる人は、どうか「より分かりやすい本」を探すことをしてほしいです。そして、「より分かりやすい本」を見つけるにはたくさんの本を読むしかないです。他者のレビュー参考にすることもできますが、あくまで他人です。自分の感覚を大事にしてください。ブログの最後にも、参考にした本を挙げてありますが、鵜呑みにしないでくださいね。

  今読んでいる本の記述を理解できなければ飛ばしてください。そして後でもう一度読んでわからなかったら、別の本を探してください。これを何度も繰り返していけばだんだんわかってきます。わかったら大抵の本には演習がついているので章末問題を解きます。ここで大事なのはできなかった問題にあまりこだわらないことです。誤植かもしれないので先に進みましょう。

 このようにして、私は読み流した本も含めると合計で多分20冊くらいは本を読みました。しかし、重要なのは数冊の「これだ!」と思う本を見つけられるかで、読んだ本の数は些事です。さすがにこれらを全部買うとなると、お財布がえらいことになりますので図書館で大体借りました。

準1級の難易度とその得点プランについて

一度問題を解いたことのある方ならよく知っているかと思いますが、2級よりかなり出題範囲が広く、難しくなっています。 

 しかしながら、準1級の合格点は7割より下であまり高くなく、うまく得点できれば合格はそれほど難しくありません。私見ですが準1級の問題は主に下の4つに分類でき、これら4つの中からどう点を取るかが重要です。(最初の百分率は配点のイメージ)

 

 ・タイプ①

  50%。いわゆる基本問題、計算すると答えが出るタイプ。理想を言えば満点、合格のためにも少なくとも8割は得点したい。難易度のイメージとしては2級とおんなじくらい。ここをとれないとお話になりません、頑張ってください!

 

 ・タイプ②

  25%。標準問題。ここから少し難しい。①と違い計算だけでは解けず頭を使う。それでも半分ぐらいは取りたい。

 

 タイプ③

  10%。難しい。成績優秀者ぐらいしか得点できない問題です。鉛筆を転がして神に祈りましょう。(記述なら残念)

 

 タイプ④

  15%。①の次に重要だが、一見意味不明。問題文をよく見ると答えを得るためのやり方が書いてあるパターン。個人的にはここが合否を分けるポイントの1つではないかなと思っています。できるだけ得点したい。

 

 私の作戦は①を9割、②を5割、④を5割得点する計画でした。過去問演習からも大体そのような得点状況でしたし、ほかの方も同様ではないかと思います。

  

電卓について

 好きなものを使いましょう。私は100均のものでしたが合格しています。

 

試験会場の様子

 中央大学後楽園キャンパスでした。会場にはおっさんしかいませんでした。隣の人が試験中もなにかブツブツつぶやいていてイライラしました。途中退室もできますが1人しかしませんでした(教室の約50人中)。問題用紙はA4サイズですが意外にメモ書きするスペースが小さいです、注意してください。

 

参考にした著作物

上に書いてあるものほど役立ちました。参考までにどうぞ。

[参考書]

 統計解析(新世社) 倉田博史
・星野崇宏 著

  大学の教科書でした。統計学の入り口としてお世話になりました。

 

 入門 統計学 −検定から多変量解析・実験計画法まで−(オーム社) 栗原伸一 著

  私の中では多変量解析のバイブルで、非常にわかりやすいです。是非読んでいただきたい一冊。

 

 入門はじめての多変量解析(東京図書) 石村貞夫・石村光資郎 著

 上記の『入門 統計学』ではあいまいにされた多変量解析の理論について詳しく丁寧に解説してあります。線形代数微分の講義を受けていない私には1つ1つの式変形が追える本書は大変役立ちました。一方で、理系の方には冗長に感じられるかもしれません。特に文系の方にオススメしたいです。

 

 高校数学の美しい物語 マスオ

 Webサイト。高校数学にとらわれない様々な数学の重要事項について解説してあります。このサイトがなければ間違いなく落ちていました。

 

 統計WEB

 Webサイト。「あれ、なんだっけ・・・?」ってなった統計学の用語をすぐに調べられます。便利。

 データ解析のための統計モデリング入門――一般化線形モデル・階層ベイズモデル・MCMC (確率と情報の科学) (岩波書店) 久保拓弥 著

 「緑本」として親しまれている名著。手薄になりがちなモデリングについて学べます。

 道具としてのベイズ統計 (日本実業出版社) 涌井良幸 著

 おそらくベイズ統計の入門書としてこれよりわかりやすいものはないです。

[問題集]

 日本統計学会公式認定 統計検定 1級・準1級 公式問題集 (実業教育出版) 日本統計学会編

 過去問。絶対に使ってください。本番の時間配分、問題の雰囲気、難易度を感じられる唯一の問題集です。古いものはどこかから借りてください。最新年度の問題は公式サイトで見られます。(ただし、解説はなし、略解のみ)

 スッキリわかる確率統計: ―定理のくわしい証明つき― (近代科学社) 皆本晃弥 著

 証明を理解できない定理は使いたくない主義なので、大変お世話になりました。このような主義を持たないなら何を使ってもいいと思います。正直なところ似た本はごまんとあります。

 

終わりに

 長々と書いてきましたが、大事なことは「自分は何を理解し、何を理解していないのか」、これをはっきりさせることです。これができれば半分くらいはすでに合格しているといっても過言ではありません。はじめはわからないことだらけでくじけそうになるかもしれませんが、統計学はとてもエキサイティングな学問です!理解すればするほど、その有用性、その緻密さ、先人たちの知恵の偉大さに驚かされるばかりです。

 かくいう私も、統計学の勉強を始めたばかりでその隅をかじって喜んでいる身です。この記事を読んでくださっている皆さん同様、まだまだ精進せねばなりません。

 それでは合格をお祈りしています!